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東日本実業団陸上選手権大会 北海道ハイテクAC所属の「社会人アスリート」フルメンバーが参戦 それぞれの自己実現に挑戦しました

第65回東日本実業団陸上選手権大会に参加した北海道ハイテクACのフルメンバー。後方がカンセキスタジアム

第65回東日本実業団陸上選手権大会に参加した北海道ハイテクACのフルメンバー。後方がカンセキスタジアム

社会人となっても好きな陸上のトップアスリートとして躍動したい!
そんな夢を抱く“社会人アスリート”を滋慶学園グループが支援する新生「北海道ハイテクAC」の2023年シーズンが始まっています。

「第65回東日本実業団陸上選手権大会~兼第71回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会予選会」が5月20日(土)、21日(日)の2日間にわたって栃木県宇都宮市にあるカンセキスタジアムとちぎで開催され、「北海道ハイテクAC」のフルメンバー6名が出場しました。

仕事との調整を行って集結したメンバーは、チームリーダで昨年の南部忠平記念や北海道陸上選手権で優勝した110mハードルの高橋佑輔選手(札幌市役所)をはじめ、100mの星汰一選手(鶴雅観光開発株式会社)と、北海道ハイテクノロジー専門学校の卒業生でもある島田雪菜選手(北央電設株式会社)と今春同専門学校を卒業したばかりの社会人1年生の吉田明香里選手(北央電設株式会社)、それに100mハードルの村岡柊有選手(千歳空港グランドスタッフ)、走高跳の元日本チャンピオンの京谷萌子選手(北海道知内高等学校)。
専属トレーナーの北海道文教大学教授(理学療法学)、髙田雄一先生と、アスレティックトレーナーの公認資格と鍼灸師・あん摩マッサージ師の資格を持つ東京メディカル・スポーツ専門学校の込山明先生もチームに帯同しました。

  • 専属トレーナーの北海道文教大学教授、髙田雄一先生

    専属トレーナーの北海道文教大学教授、髙田雄一先生

  • アスレティックトレーナーの公認資格などを持つ東京メディカル・スポーツ専門学校の込山明先生

    アスレティックトレーナーの公認資格などを持つ東京メディカル・スポーツ専門学校の込山明先生

優勝候補の高橋佑輔選手がまさかの途中棄権 態勢を直そうとして転倒

大会初日、2日目とも晴れの中で行われ、初日に出場した男子110mハードルの高橋佑輔選手と、女子100mの島田雪菜選手、女子走高跳の京谷萌子選手が決勝に進出。高橋選手は予選1位の成績で今大会の優勝候補と見込まれ、表彰台に足がかかっていましたが、決勝のスタート直後にまさかの転倒、痛恨の表彰台逃しとなりました。今シーズン初の本格的な大会で自らの走りを試行錯誤しながら試している最中のアクシデント。まさに七転び八起の精神で、何事につけても前向きな高橋選手の「次」に期待がかかります。

北海道ハイテクACは、OLやホテルの広報マン、学校の先生や公務員など社会人として普通に働きながら、好きな陸上を続けたいと集う“社会人アスリート”のチームです。メンバーの想いは、陸上ができる幸せに感謝し、「今日より少しでも成長した明日の自分」を夢見ること。今大会では表彰台は逃しましたが、東日本から集まったアスリートや陸上ファンの皆さんに北海道ハイテクACらしいプレゼンスを随所で見せることができました。

正垣雅規代表兼監督も「目標に向かってステップアップしていってほしい」

大会終了後、メンバーは今大会に参加できた喜びを胸に、それぞれ明日からの職場での仕事に戻っていきました。本拠地の北海道・恵庭で応援していた滋慶学園理事でもある北海道ハイテクACの正垣雅規代表兼監督は「今年は怪我や体調不良が多いのですが、頑張ってチャレンジしてくれました。まだシーズンは始まったばかり。今後の目標に向かって一人ひとりがステップアップしていってほしい」と温かく見守っていました。

仕事のプロフェッショナルと走りのエキスパートの両立に挑戦する

「一歩一歩ずつでも成長したい」。多忙な職業人生活の中でわずかの練習時間を産み出し、陸上に打ち込む。現状を維持するだけでも大変な中、それぞれセルフマネジメントを行ってきた北海道ハイテクACメンバーの今大会での挑戦を紹介します。

【大会1日目】

■男子100m

星 汰一選手(鶴雅観光開発株式会社)
成績:予選23組2着 11秒21

予選2着 でも「今日は悪い走りの日。次は課題を克服したい」

この日のトップバッター、星選手は今年に入って昼夜の区別なく働くホテルのフロント業務から広報など昼間の通常勤務に社内異動しました。休日しかスパイクを履けなかった生活から毎日の練習ができる環境への変化は星選手にとって大きな出来事でした。
といっても距離の離れたグラウンドに毎日出向くほどの時間はなく、帰宅後、家の前の道路で約1時間ほど、ダッシュ練習を繰り返す毎日です。硬い道路での練習のためか、膝を痛めてしまいましたが、それでも5月初めに行われた札幌の記録会では11秒01を出し、「いい勝負ができるかも」と期待を込め、久々に充実した気持ちで大会に参戦しました。
この日の各種目の中でも男子100mは、各地の実業団チームから足に自信のある選手が続々とエントリーし、なんと予選だけで25組。準決勝に進めるのは、各組の1位とプラス上位タイム者7名のみの難関。11時5分に第一組がスタートしてからちょうど1時間目の12時5分にスタートした星選手でしたが、思うようにスピードに乗れません。結果は2着、タイムは11秒21と不本意な成績となり、準決勝には進めませんでした。

  • 予選を2位で走った星選手

    予選を2位で走った星選手

  • レース後の成績発表

    レース後の成績発表

「いい走りができるときと悪い時の差が大きいのです。今日は悪い走りの日でした。自分のリズムで走れず、最初からオーバーストライドになってしまいました」。残念そうな表情でこう振り返った星選手は、「次は自分のリズムで走れるように課題を克服したい。7月の北海道選手権をターゲットに、出直して調整します」と話していました。

■女子100m

島田 雪菜選手(北央電設株式会社)
予選1組2位 12秒30
決勝 7位  12秒25

島田選手は決勝に進出7位 「次は11秒台を目指します」

女子100mに参戦した北海道ハイテクノロジー専門学校の卒業生で、OLとして同じ会社で働く島田選手と吉田選手は冬の間、雪に閉ざされた恵庭の北海道ハイテクACインドアスタジアムで仲良く練習に取り組んできました。
島田選手は5組ある予選の1組目に出場。かつて北海道ハイテクノロジー専門学校の教壇にも立ちアスレチックトレーナーの公認資格を持つ東京メディカル・スポーツ専門学校の込山明先生が、今シーズン初めてチームに帯同してくれました。その込山先生から身体のメンテナンスを受けて、「先は長いのだから無理はする必要はないよ」とアドバイスされました。
「でも今年はまだ11秒台が出せていないので、ぜひ出したい…」。思い切って走った予選は2位の12秒30。ぎりぎり決勝に滑り込みました。決勝では素晴らしいスタートを切りましたが、後半スピードに乗れず7位に。タイムは12秒25と予選よりも縮めることができました。でも11秒69の自己記録を持ち、スタートも良かっただけに、最後まで加速できなかったことがちょっぴり悔しそう。「次の日本選手権では11秒台を出せるよう頑張ります!」。すぐに気持ちを切り替え、笑顔を見せました。

  • 無理を抑えながら力走する島田選手

    無理を抑えながら力走する島田選手

  • 2位に入り決勝へ

    2位に入り決勝へ

吉田 明香里選手(北央電設株式会社)
予選2組4位 12秒75

社会人アスリート1年生の吉田明香里選手「家族の応援受けて嬉しかった」

続く予選2組には社会人1年目の吉田選手が出場。島田さんと会社が終わると雪道を車で20分の北海道ハイテクACのインドアスタジアムに足を運び、走りこんできました。
「昨日はよく眠れました。気楽に楽しく走れたら最高です。それでタイムがついてきてくれたら…」。結果は4位のタイムは12秒75、シーズン初めとしてはまずまずの結果です。昨シーズンは故障であまりレースに出れなかっただけに、「今日は両親が鳥取から応援に来てくれているんです」と、家族の応援を受けて走れたことが、とてもうれしそうでした。

  • 予選4位に入った吉田選手

    予選4位に入った吉田選手

  • 陸上を始めた吉田選手の為に独学で陸上を研究、中学時代に全国チャンピオンに導いてくれた父からアドバイスを受けました

    陸上を始めた吉田選手の為に独学で陸上を研究、中学時代に全国チャンピオンに導いてくれた父からアドバイスを受けました

■女子100mハードル

村岡柊有選手(千歳空港グランドスタッフ)
予選1組7位 14秒32

「夏が好き。夏には13秒台を狙います!」

昨年秋にハムストリングを痛めるケガをして、今期もシーズン入りしてから全力で走れない状態が続いてきましたが、村岡選手はその分、筋トレなどに力を入れ体力の底上げを図ってきました。そんな中、4月の織田記念陸上、5月の木南記念陸上と連続して出場しましたが、「結果はひどい成績でした」。ただ昨シーズンもこの東日本実業団陸上で予選、決勝と13秒台を出し、復調のきっかけとなっただけに、「この大会で13秒台が出てくれれば」と予選1組に挑みました。結果は14秒32。前2回の記録を上回ったものの7位に終わりました。
試合後、「今回もイメージ通りにいきませんでした。でもスタートは段々よくなってきています。一つずつよくして行って、次につなげたいいです」と語ってくれました。今年に入って仕事も変わり、心機一転、1月からは千歳空港のグランドスタッフとして働き始めた村岡選手。「私は夏が好きなので、夏ごろに13秒台前半が出せればと思っています」と明るく話していました。

  • 予選1組で走る村岡選手(右から2人目)と高橋選手(左端)

    予選1組で走る村岡選手(右から2人目)と高橋選手(左端)

  • 調子を崩す中、懸命に追う村岡選手

    調子を崩す中、懸命に追う村岡選手

高橋選手のパートナー、友紀子選手も出場

110mハードルの予選同組に、高橋佑輔選手夫人で立命館慶祥中学校・高等学校の陸上部監督を務める高橋友紀子選手も出場。13秒98のタイムで5位に入りました。「(佑輔選手が)良くなってきているので楽しみです」と次のレースに登場する高橋選手の走りに期待していました。

■男子110mハードル

高橋佑輔選手(札幌市役所)
予選2組1位 14秒11
決勝 DNF(途中棄権)

予選は全体1位の成績で突破し優勝候補の筆頭に

5月2日に行われた札幌の記録会の朝のウォーミング中にハムストリングに「ピリッ」と痛みを感じ、大事をとって、1週間練習を休みました。昨年の日本選手権で4位に入り、一躍トップ選手として注目を浴びてきた高橋選手ですが、「今シーズンはスタートに重点を置いて、何回も何回もこれではないなとダメ出しを繰り返し、ようやく1つこれかなっとしっくりくるものがみつかりました」と、スタートが安定してきたことに自信を深めて大会に臨みました。
さらにこの1年で1台目のハードルまでを八歩で走る力の配分や身体を起こすタイミングの調整などにも取り組んできました。「いろいろと試してなんとなく形にはまりつつあります」。コーチもなしで、北海道ハイテクACの専属トレーナーで北海道文教大学教授(理学療法学)の髙田雄一先生からの動画分析などのデータサポートやアドバイスを受けながら、勤務終了後に自宅近くの運動場などで、自力でのステップアップを目指して練習に取り組んできました。なによりも前向きにセルフコントロールできるようになり、「メンタル的には充実しています」と昨年よりもチームの兄貴分、リーダーとしての風格も備わったようです。
予選では14秒11とややゆっくり目のタイムでしたが、それでも3組全体のトップタイム、余裕の決勝進出でした。
「これまでやってきたことを一つ一つ確認しながら走りました」と冷静にレースを振り返りました。

  • ハードリングを確認しながら走る高橋選手

    ハードリングを確認しながら走る高橋選手

  • 堂々、予選全体1位のタイムでゴールする高橋選手

    堂々、予選全体1位のタイムでゴールする高橋選手

  • トップ表示された高橋選手の成績

    トップ表示された高橋選手の成績

  • 結果を確認する高橋選手

    結果を確認する高橋選手

最後まで走ることが出来なかった第6レーンに向かって深々と一礼

いよいよ決勝のスタート。優勝候補の筆頭として、決勝前の場内アナウンスの紹介も行われました。
最初の8歩から1台目をクリアし2台目へ。そこで第6レーンから高橋選手の姿がこつ然と消えたのです。1台目でバランスを崩し、立て直そうとしてつま先からハードルに突っ込んでのまさかの転倒です。
「普通はハードルにあたる瞬間、かかと部分であたるので、そのまま前に抜けたのですが、つま先だったので…」と本当に悔しそうでした。
他の選手たちが全員ゴールした後、悄然とした様子でハードル横をゴールに向かった高橋選手は、「頑張れ!」との会場からの声にも、打ちひしがれているのか反応はありません。会場が見守る中、重い足取りでゴールに辿り着いた高橋選手はゆっくりと第6レーンに向かい、静寂感が漂う無人の第6レーンに向かって深々と一礼しました。スタンドから拍手が起こりました。
試合前、「表彰台をめざします!」と言っていただけに、高橋選手は待機場に戻ったあともしばらくはショックを引きずっているようでした。チームメイトも声をかけられない雰囲気でしたが、高田先生が「(悔し涙をふくのに)トイレットペーパー持ってこようか」と声をかけるとようやく泣き笑いの顔が戻ってきました。「よほど悔しかったんでしょうね」と高田先生がぽつんと言います。しばらくたつと、ようやく気分が切り替えられたのでしょうか、高橋選手は次の日本選手権大会に向けてきっちりとクールダウンの運動を行うためにグランドに出ていきました。

  • スタート直後の高橋選手(中央)

    スタート直後の高橋選手(中央)

  • 第6レーンに深々と一礼した後、退場する高橋選手

    第6レーンに深々と一礼した後、退場する高橋選手

■女子走高跳

京谷萌子選手(北海道知内高等学校)
決勝 6位(決勝出場者11人)

京谷選手 復調の手ごたえ 走高跳決勝6位

北海道知内高等学校で陸上部の顧問や担任をするなど、自分の練習もままならない教員生活。「今年はダメです。筋肉が落ちてきて思うように練習できない状態です」。開口一番、今シーズンの調子を聞かれた元日本チャンピオンはおもわず弱音を漏らしました。「きのうも支部大会の審判をやって、6時間立ちっぱなし。足がパンパンです」。と言いながら、いざ試合が始まると、1m50からスタートした京谷選手は、1m50、1m55、1m60とバーを上げながら、いずれも一回で面白いようにクリアしていきます。
試合前、「試合に出れるだけでありがたいことです。見える形で恩返ししたいし、生徒も含めいろんな関わりのある人たちに格好いい姿を見せたいですね」と話していたとおり、ひょっとしたらと期待の気持ちが高まります。しかし1m65にバーがあがると、3回連続でバーを落としました。結果は6位。2回目の跳躍で身体はバーを越えていたのに足が触れ、バーは無情にも落下してしまいました。
「助走の勢いがありすぎて突っ込んでしまい、ブレーキをうまくかけられませんでした。込山先生に時間をかけてほぐしてもらったので身体が軽すぎたのでしょうか」と、まずまずの手ごたえに冗談も飛び出していました。「初心に帰って、調子のよかった時の自分の動きを思い出しながら、トレーニングを積み上げて徐々に感覚を取り戻していきます。恰好いいところを見せたいので」と話していました。
京谷先生の今後の復活が楽しみです。

  • 助走を始める京谷選手

    助走を始める京谷選手

  • 1m60を一発でクリアする京谷選手

    1m60を一発でクリアする京谷選手

【大会2日目】

■女子200m

吉田明香里選手(北央電設株式会社)
予選3組4位 26秒44

島田雪菜選手
予選DNS(欠場)

吉田明香里選手 「200mもめざして体力づくりに取り組みたい」

「今日はレースを楽しみます」。こう言って会場に向かった吉田選手は懸命の走りを見せてくれました。結果は予選3組4位の26秒44。自己ベスト(24秒80)には届きませんでしたが、「十分に楽しかったです」と笑顔を見せました。
それでもレースの出来については、首をかしげながら「65点」だと自己採点しました。マイナス35点は、「後半の20mの体力がありませんでした。走りがバラバラになってしましました」と振り返ります。「これまではスタートとか走り方とか技術面ばかりが中心でしたが、これからは200mを走り切れる体力をつけたいです」と、この日の200mに出場した選手の中で最年少の社会人アスリートは、かなり真剣な表情を見せていました。

  • まずますのスタートを切る吉田選手

    まずますのスタートを切る吉田選手

  • 最後の20mが課題という吉田選手の走り

    最後の20mが課題という吉田選手の走り

皆さん、お疲れ様でした。

北海道ハイテクAC/Web広報センター)

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